暫く歩くと、拓けた道に出た。

其処は、大分歩いたにも関わらず、まだ歩かなくてはいけないのか、長い長い道だった。


「マジかよ…」


肩を落とした俺に、夜統は苦笑した。


「ま、何とかなんだろ。取り敢えず歩いてみるべ」

「……んだな…」


拓けた道なので、二人並んで歩くことにした。

さっきよりも随分歩きやすく、スキップしたくなるような道だ。

歩いていくと、何やら遠くに建物が見え始めた。

それでも大分遠くだから、おそらく夜統には認識できていないだろう。


「建物だ……! 夜統、街があるかも!」

「マジでか。俺からは見えねェけど……」

「そりゃそうだろ。何キロも先だし」

「……お前どこまで見えてんだ?」


これで希望は見えた。人が居る。


「そうと決まれば急ごう! うまくいけば何かご馳走してもらえるかも…」

「どんだけ都合の良い脳ミソしてんだよ、お前は」


溜息をつきながら言う夜統。





俺達は、まだ知らない。




この世界が、この街が。




俺達の運命を悉く変えるということを。