夜統はボリボリとミルクティーのような色の髪を掻いてから、気怠そうに辺りを見回してから、表情を変えずに、

「まさか、あの世とこの世の境だったりして、な」

と恐ろしいことを口走った。


「えェェェ!? やっぱり死んじゃったの、俺達……?」


俺としては、屋上から落ちた時点で望みは薄かったと思うが、やはりあのような形で人生に終止符を打つことになろうとは思いもしなかった訳で、些か悔しさというか、呆気なさに愕然とする。


「屋上から落ちたし、あの体勢なら脳天突き割ってたろうしな。間違いなく天に召されたんじゃね?」

「何格好良く言ってんだよ! マジ終わってんだけど」

「俺達の人生がな」

「うまい事言うな……じゃなくて!」


噛み合っているのか居ないのか、微妙なテンポで会話を進めながら、今自分達が置かれているこの状況をどう理解するかが先決だと俺は考えた。

実際、夜統は頭が良いのだ。 天国や地獄などと言った、非科学的であり非現実的なものを好むとは思えない。

そんな彼があんな冗談を言うくらいだ。 動転しているのは同じだろうな………