──痛い………


俺は、全身に鈍く伝わる痛みで目が覚めた。

まるで自分の体に見えない何かがのしかかっているような、そんな異様な圧迫感が体中を包み、俺は思わず小さく息を吐いた。


「……あ、」


俺の隣では、夜統が同じように倒れており、気を失っているのか、微動だにしなかった。

俺は取り敢えず辺りを見回してみた。

目の前に見えるのは巨大な木々。

一面が緑で、自分達が倒れている地面も、短い緑の草が生え、所々に小さな花が咲いている。

おかしい。

俺たちは屋上から落下したはずだ。

それならば、普通は無残なひしゃげた死体となって、今頃学校を騒がせているはず。

それなのに、周りに見えるのは豊かな緑ばかりで、外に居たら嫌でも聞こえた喧騒が無い。


「どういう……事だ?」


俺はただ、口から無意識に言葉を紡いだ。


「うっ………」


その時、隣で伸びていた夜統が呻きながら目を覚ました。

ゆっくりと睫毛が震え、ぼんやりとした瞳が現われる。


「幸村……?」

「大丈夫? って、此処がコンクリートじゃない時点でおかしいんだけどさ…」


俺は彼の呼び掛けに答えながら苦笑した。