───結果はやはり予想通りだった。

現代文28点、数学5点、理科総合39点、英語56点。

そして。


「はぁΣ!? 何お前有り得ねー!!」


世界史100点。


伸は俺のテストを掴み上げて、目を剥いて叫んだ。

コイツのテストは全部一桁だ。

ある意味奇跡に近い。


「俺暗記は得意だから。一回見たもの聞いたもの忘れないし」

「成る程な。暗記が主の世界史は持って来いって訳か」

「唯一愛澤に勝てたな」


愛澤のテストは全て8割以上だ。

俺達のグループの中でも成績はトップクラスだ。と言うか、俺達のレベルが低すぎるだけだ。


「記憶力良いなんてずりィよな! 俺なんか全部すっぽ抜けんのにさ!」

「お前は一体何のために脳みそを働かせてるんだ?」


そうだ。俺にはいくつか、他人に誇れる特技がある。

それが、先にも言った超記憶と、マサイ族と良い勝負をするであろう、超視力だ。

視力が悪いため、眼鏡を掛けることを余儀なくされる愛澤は羨んでいたが、俺自身此処まで視力は良くなくても良いと思う。

一番後ろの席から教師の白髪を数えるとか、化粧の濃い女教師のファンデーションに隠れたシミを探すとか、鼻毛が出てるのを見つけるとか、それ位しか楽しみが無い。

それなら、愛澤のように勉強が出来た方が、絶対得すると思う。