職員室に入ろうと、扉に手を掛けたときだ。

何やら怒鳴り声にも近い声が中から聞こえてきた。


──……? 何だろ…


俺は気にはなったものの、ぐずぐずしていると次の授業が始まってしまうので、そのまま中に入った。


「失礼します」


担任のところまでプリントを渡しに行こうとしたのだが、当の本人が見当たらない。

何処に居るのだろうと視線を泳がせていると、隣の机の小田先生が声を掛けてくれた。


「村井先生なら今会議室だよ。何でも、先週の金曜日に他校の生徒と喧嘩した奴が居るらしくてね…指導部の佐藤先生に頭下げてるよ」

「そうなんですか……」


あれ、金曜日といえば、確か夜統がオヤジ狩りからサラリーマンを助けた日ではないか…?

俺は、会議室に足を運んだ。


悪いのは夜統じゃない。


それを言いに行かないと、何だか俺の気が済まない気がした。