机の上の真っ白な紙を、俺はぼんやりと見つめた。

周りの奴らは教師の合図を目を血走らせて伺っているようだが、俺は至ってやる気というものが無かった。


「始め!」


──ハサバサッ


教師の合図と共に、彼らは目にも留まらぬ早さで紙を裏返す。

俺は怠慢な動作でシャープペンシルをノックしながら、白い紙を裏返した。

前期数学中間考査と書かれたそれに、俺は名前を記入する。

問題番号1を難問か解き、後はざっと目を通して、再び紙を裏返した。


──…こんな薄い紙一枚で、人の能力を測ろうとするなんて、馬鹿げた話だ。


殆どの人間は、成績の善し悪しで個人の人間性を判断する。

俺もその一人だろう。

だが、俺はそれに対して、形容しがたい嫌悪感のようなものを抱いていた。

俺の成績は決して良くはないのだが、だからだろうか、どうしても優等生のような、人を見下すような言い方をする教師に対して、言い様の無い苛立ちを覚える。


とにかく。



俺は、今この世界に対して、人間に対して、言葉では表しがたい虚無感を覚え、どこかに境界線を引いているのだ。