「ノブオ君っ、大丈夫?」

タケシは、ノブオに
重なるように
落ちたので、
ノブオの体がクッションになり、
何ともありませんが、
ノブオの背中の下には、
大きな岩があり、
血が流れていました。

「へへっ、こんなの
 かすり傷だよ。
 ここに岩がある事、
 飛び降りてから
 思い出しちゃってさ、
 タケシ君は大丈夫だった?」

「ありがとうノブオ君、
 僕をかばう為に。」

「何言ってんだよ、
 タケシ君が来てくれなきゃ、
 僕は今ごろ丸焼けだよ。
 本当にありがとう。」

ゴロウとカズコも
駆けつけて来ました。
妹達も無事なようです。
誰かが通報してくれたのか、
消防車のサイレンが
聞こえてきました。

「タケシ君、本当にありがとう、
 君のおかげで、
 皆無事でいられたよ。」

ゴロウは、深々と
頭を下げました。

「母さん、
 救急車も呼んでくれっ。」

「はいっ。」

カズコは、近くの
民家に走り出しました。

 消防車が来ると、
あっという間に、
火は消し止められました。
しかし、家は
原型をとどめてはいませんでした。

 すぐに救急車も来て、
ノブオの背中に
応急処置を施し、
救急車に乗せられました。

「ノブオ君っ、
 大事な話があるんだっ。」

ノブオが乗せらてる
担架が救急車に
乗せられようとしていました。
タケシは元々、
ノブオに大事な話が
あるから戻ったのです。
何としても
伝えなくてはなりません。