エセルが顔を向けるとロットと呼ばれた男が目を丸くしてサスティンを見つめていた。
この二人以外の者たちは何が起こっているのか分からず、ただ立ち尽くしている。
サスティンが首を縦に振った。
次の瞬間、ロットという男がバンッと思いっきりサスティンの背中を叩いた。
「おい、何年ぶりだよ」
さっきまでのキツイ表情から一変して、笑顔を浮かべながらロットは言った。
興奮とまだ収まらない驚きの声色だ。
サスティンも一緒になって顔を綻ばせた。
「さあな。何年ぶりくらいだろう」
そう言って楽しそうに笑うサスティンをエセルは滅多に見たことがなかった。
いや、これまでで一番の笑顔なのかもしれない。
子供のようなあどけない表情をエセルはこれまで見たことがなかった。



