「―――っ!」 矢はベーチス翼に深く突き刺さった。 ベーチスの悲痛な高い鳴き声が空に響く。 エセルの作戦とは、まずエセルが矢を放ち、ベーチスが追い風で矢を吹き飛ばした隙にサスティンが風を操って、矢を ベーチスに向ける。 しかし、やはり魔法で操る風は弱いため、その間にエセルが矢をもう一発放ったのだ。 裏を読んだエセルの寸法に、サスティンは驚き、尊敬を感じた。 例え、十七歳と言えども史上最年少の衛兵隊長。 確かな実力は十分備わっている。