「くっ」
エセルが悔しさとも、落胆ともいえる歯ぎしりをした。
もう手はないかもしれない。
エセルは滲み出る手汗を握りしめながら辺りを素早く見渡した。
こんな時でも冷静に判断し、行動出来るのは、実践を重ねたプロの実力だろう。
すると、遠くにフェリアとレオルが鳥を見上げ、サスティンがすぐ先に呆然と立ち尽くしていた。
四人の内、あの時に攻撃をする事が可能なのは、自分とサスティンだけだ。
レオルは魔法を使えない為、剣での攻撃しか出来ないし、フェリアの命与魔法は時間が掛かってしまう為、このようなスピードが必要な戦闘においては圧倒的不利だ。
と、なるとベーチスに攻撃を与える事の出来るのは二人だけとなる。
しかし自分の唯一の遠距離攻撃が可能なレイドゥーズボウも恐らくもう奴には効かない。
もうサスティンに頼るしか……。



