アリーセ達は喜んでいるようだが、ネム達は不安でイッパイだった。
どうか、どうか明日のお祭りが中止になりますようにと本気で願った。
「もうこんな時間かい。あたしは調合の続きをやろうかね。まだ仕上げが残っているのでね」
お婆ちゃんは立ち上がると、食べ終わった食器やお鍋などを魔法で台所に運んだ。
もう調合を始めたのであろうか、左手で食器やスポンジ、そして洗剤に指示を出していた。
「お婆さん、ご馳走様。お邪魔しちゃ悪いからあたし達は市場に戻るよ。噴水近くのベンチでお話でもしようかなって」
「えぇ、それはいい案ですわ。そうしましょう。アリーセの口の端についたパイの欠片が賛成してるもの。クスッ」
アリーセは陽汰に見られないように急いで口を拭き、もう何もついてないかアーベルに確認させた。


