そして何の気なしに陽汰を見たら、陽汰がこっちを見ていたので、思わず目が合ってしまった。
陽汰が優しく微笑んできたので、ネムは思わず顔を逸らしてしまった。
顔、赤くなっていませんように。
「現地で会いましょう。やるべき事が沢山あるので、一緒に行くわけにはいかないのが残念ですが――」
そう言うと陽汰は残念そうに、さも大袈裟に肩を落として見せた。
「いや、カイザーや。皆と一緒に行っておいで。あたし一人で出来るだろうからね。それに、皆お前と一緒に行きたがっているからね」
思ってもみない発言に、ネム、そしてディルク、もちろん陽汰もありえないといった顔でお婆ちゃんの顔を見た。
人間ってバレてしまうかもしれないのに、人のみならずエルフや悪魔の賑わう年に一度のお祭りに放り出すなんて!!
――しかもお婆ちゃん無しで。


