皆が席に着くと、カップやシチュー皿が並べられた。
――もちろん、魔法で並べられたわけだが。
お婆ちゃんは最後に席に着いたが、今でも右手がせわしなく動いていた。
きっと魔法薬がまだ完成していないのだろう。
「お昼ご飯を召し上がれ。――あぁ、パンも沢山焼いたからね。シチューにつけるなりそのまま食べるなりお好きなように!」
そう言ってお婆ちゃんが左手を動かすと、皆の目の前にパンの乗った皿が現れ、カップにはふんわりスープ、そしてお皿にはビーフシチューが盛られていく。
「いただきます!」
声を揃えて言ったあと、皆いっせいに食べだした。
そこまでお腹は好いていないのに、どんどん食欲が湧いてくる味だった。
「ふんわりスープは食後に出すべきだったかね」
「ううん、あたしは平気だよ、お婆さん!主食でオッケーだよ!何杯でもイケちゃう♪」
言葉通り、アリーセは既に何杯もお代わりしていた。
その割にはスラッとしているので同年代の女の子からはいつも羨ましがられていた。


