「ハーイ! あたしアリーセよ。この子はあたしの守り猫のアーベル。とっても綺麗な毛でしょう? 毎日梳かしてるもん」
陽汰は慣れないながらも頑張ってハグをした。
じっと睨んでいるアーベルが気になって仕方がなかったが。
「こんにちわ、ロミルダと申しますわ。あぁ、そろそろこの口調やめてもいいかしら? だってとっても疲れるんだもの。それに、不思議な匂いがしているから」
クスクスと笑っているのはロミルダだけだ。
「え? いいのよ、貴方には分からないでしょう。だってこれは私とベルホルトだけの暗号なんだもの。あぁ、ごめんなさい。ベルホルト、こちらへ」
そう促されてベルホルトは背筋を伸ばし、前へ出た。
「よ、宜しくお願いします。僕はベルホルトって言います。」
「うふふ。緊張しなくてもいいのに。この方は私の旦那様なの。あら、そう言えば貴方、奥様はいらっしゃらないの? そう、なら貴方は違う国の方なのね」


