「ねぇ、ディルク。今日の貴方は気分がいいの?」
ふいに聞かれて少し考えているようだ。
そしてネムの言葉の意味を理解したらしい。
「いや、いつもと変わらぬ。ただ、この者の話はおもしろいのでな」
そう言うと、ディルクとベルホルト、そしてアーベルは顔を見合わせニヤリとした。
「クスッ。ディルクさんは旦那様と気が合うみたいね。そうよね、だって見えざる星がそう言っているんだもの」
ロミルダはそう言うと、うんうんと一人で頷いていた。
そしてクスクスと笑っている。
ネムとアリーセは意味が分からず、顔を見合わせ同時に肩をすくめた。
時々ひそひそ声で話すディルクを見て、なんだかモヤモヤした気持ちになった。
あたしの知らない人と、内緒でお話しするなんていい度胸だわ!
ネムはふんと鼻を鳴らすと、少し早足で歩き出したので、皆ついていくのに精一杯だった。


