「お待たせ。ディルクの分はぬるめにしといたからね」
キッチンから戻ってきたお婆ちゃんは、ネム専用のカップとディルク専用のお皿を持ってきてくれた。
ネム専用のカップは白地に赤いハートの模様が大きく描かれてある。
いつだったか市場でずっとこのカップを見ていたネムに見かねて、お婆ちゃんが買ってくれたのである。
「ありがとー!」
「かたじけない」
ネムは一口飲むと、顔がニヤけた。
「これこれ~~っ! 久しぶりな味♪ママはこういうの作ってくれないんだもん」
「マルティナはこういう料理が昔から苦手だからねぇ。ネムも自分で覚えるといいよ」
「えー。あたしが作ったら茶色の湯気になっちゃいそうだもん! ね? ディルク」
ディルクは答えず、一生懸命スープを舐めている。
「……もう!」


