――ディルクは部屋の扉を開け、暗い部屋でうずくまっているネムの傍に寄り添った。
ネムは泣き止んだのだろうが、まだ鼻をすすっていた。
鼻をかんだであろうティッシュが、沢山散乱していた。
かみすぎたのか、泣きすぎたのか、目と鼻が真っ赤になっている。
ディルクに大量のティッシュを見られバツが悪かったのか、ネムはさっと呪文を唱えると、そのテイッシュたちは一気にゴミ箱に入った。
「遅くなってすまない」
「いいの。あたしが悪いんだもん。でもね、急に涙が出てきたの。変だよね」
「変ではない。お前の心の中で何かがあったから出てきたのだろう?」
「わかんないんだ。だって勝手に出ちゃったんだもん。ねぇディルク。泣く人間は弱い?」
「弱い部分を見せるのはいいことなのだ。だからといって泣いてばかりではいけない。そこをうまく出来るのが大人なのかもしれぬな」
ディルクは自分にも言い聞かせるように頷いた。
「お前はゆっくり成長すればいい。わたしが守る。わたしがついている。お前と共にあるのだ」


