――不意に、涙が頬を伝う。 人前でなんで泣いたことのないネムは、自分でビックリしていた。 ディルクの前でも泣き顔を見せたのは何年の前のことだったか? とにかく涙なんて見られたくない、そう思ってネムはテーブルに顔を埋めた。 陽汰はいつも笑顔のネムの涙を初めて見て戸惑っている。 「ネム、わたしがついている。少し上の部屋に行かせてもらおう」 ディルクはそう言うとネムを先に部屋へ行かせ、お婆ちゃんにもそれを伝えた。 ――お婆ちゃんはキッチンで美味しそうなスープを作っているみたいだった。