部屋に入り、皆が椅子に座ったのを確認すると、お婆ちゃんは扉を厳重に閉め、カーテンも閉めた。



 そして、軽く呪文を唱えた途端、部屋のランプやろうそくに灯りが灯った。

 いつもは薄いピンク色に光らせるのだが、今日は黄緑色だ。


「さて、陽汰よ。全て話してもらおうかな?」


 お婆ちゃんも席に着き、ため息混じりに口を開いた。


「オレはずっとエレンさんの後を付いていきました。オレの国には無いお店とか品物が沢山あって、夢中になっちゃって、気付いたらはぐれてて……」


 さっきの事を思い出したのか、陽汰の体が少し震えていた。


「立ち尽くしていたら、‘人間のにおいがしないか?’って声が聞こえてきたから、いったん家に帰ろうと思って森へ向かって走って行ったんです。そしたら……」



「ヤルモがいたんだね。そこで戦おうとしたけど返り討ちになって、そしてあたし達が来たわけだね?」



 陽汰が言葉に詰まってしまったが、お婆ちゃんが続けた。



「はい」

「ふん。小僧。そんな嘘を誰が信じるか。貴様の気配が消えた理由は、どう説明するつもりだ?」


 今にも陽汰に飛び掛りそうな体制でディルクが聞いた。


「もしかしたら、陽汰自身ではないかもしれないよ」


「エレン殿……どういう意味でしょうか?」