ディルクとお婆ちゃんは何やら話し合っている。

 小声で話し合っているのだろうか、何も聞こえてはこなかった。
   



「怖い思いさせてすまなかったね。さぁ、家へ帰ろうじゃないか。いつまでもここに居たら厄介な事になりかねないからね」


 お婆ちゃん優しく言われ、ネムは陽汰を起こし立ち上がった。


 聞きたいことは沢山あったけれど、口に出てこなかった。 


 そもそも、聞いてはいけないのだろうと悟っていたが。


「さて、陽汰。家に着いたら詳しく聞かせてもらうよ。いいね?」



 陽汰は何も言わず、皆の後を付いて歩いた。


 俯き加減で歩いていた陽汰の表情からは、何を考えているのか誰も想像できなかった……