ネムは、なんの事かディルクに聞こうとしたが、うまく息が出来ないでいた。 それと同時に、口の中の水分を一気に奪われているような感覚になった。 呼吸を整えてその場を見守ることがネムには精一杯だった。 ヤルモはというと、何を感じたのか恐怖で顔が強張っている。 そして辺りを何回も見渡し、ブツブツと呟いていた。 「バ、ばばア何を! まさカ? アレを、まさカ」 霧が少しずつ晴れ、視界がクリアになった時、ネムは息を呑んだ。 ――生まれて初めて息を呑んだかもしれない。