まもりねこ。


「うウゥゥゥッゥ!? 何、言ってるノか!? におイで、分かるんダぞ!! 馬鹿にするナァァァッァ!!」


 突如、ヤルモは雷を呼び出し、お婆ちゃん目掛けて放った。

 轟音と激しい光で、ディルクとネムは何も見ることが出来なかった。


 鳴り止んだ後で見えたものは――


 お婆ちゃんが結界を張って、自分自身のみならずそこに居る全員を守っているものだった。


「エレン殿!!!」


 ディルクは一緒に戦おうとしたが、お婆ちゃんはそれを静止した。


「大丈夫だよ、ディルク。あたしはまだまだ落ちこぼれじゃないからね」


 そう笑って告げると、少し目をつぶり、素早く呪文を唱えた。


「ヤルモや、運が悪かったね。犬だけのみならず若者までも食らおうとする神経の図太さがいけなかったようだ」


 そう言い終った途端、ネムは先ほどの寒気が一気に吹き飛んだのを感じた。



 しかしその代わりに生温い風が吹き始めた。
と、同時に生臭いような吐き気をもよおすようなそんなにおいもした。




「エレン殿!? もしや……」