西の森は、いつも薄暗く、人やエルフ、ゴブリンでさえ近付かない場所だ。
ファー・ダリグやドゥラハンが住み着いているとされ、確認はしていないが他にもたくさんのエルフ達がいる。
それに、まだ誰も見たことはないが、冥府への扉もここにあるとされている。
「こわ~! 薄暗い~! 見付けたら怒ってやるんだから!!」
ネムは自分を奮い立たせようと、さっきから独り言をブツブツ言っている。
その度にディルクに怒られているが……。
降り出した雨は、どんどん強くなっていき、西の森に霧が出てきた。
雨のせいなのかは分からないが、ネムは先ほどから寒気が強まっているように思えた。
魔法で体を温めようと思ったものの、走りながら呪文を唱える事など器用な事は出来なかった。


