「お前もかい?実はあたしもなんだ。さっきから探しているのに、何も感じない。ひょっとすると……」
そこまで言って、お婆ちゃんは止めた。
ネムが悲しい顔をするのが目に見えるからだ。
しかし構わずディルクがその後を続けた。
「やはり、赤い光と共にきた人間であったか。見付け次第、抹消せねば」
「でも、でもまだ分からないじゃない!! 決め付けるのは良くない!!」
ネムは信じたくなかったのだ。
純粋な瞳をしていて、あんなに優しい陽汰が―この世界を滅ぼしにきた人間だなんて。
「落ち着きなさい、ネム。あたし達3人、魔力を合わせて陽汰の気配を探ろう」
3人は向かい合い、静かに呼吸を合わせ、風や雨の音、人の声、全てを遮断し集中した。
「いた!!」
「ふむ、いたね」
「小僧……」
同時に声をあげ、気配を感じた方向へ走り出した。
東の森と反対方向の、西の森へ――


