「お婆ちゃん、ヨータは??」
ネムはさっきから姿が見えない陽汰が気になって仕方が無いようだ。
そう言われて、はっとしたお婆ちゃんは辺りを見渡してみたが、どこにもその姿は無い。
ディルクはネムの腕の中で、必死に陽汰の気配を辿っていた。
「あたしとした事が……イライザを見付けて話に夢中になってる時にはぐれたんだね。すまない」
「ううん。この人混みだもん、仕方が無いよ。ディルク、気配つかめる?」
「いや、それが奴の気配がどこにもないのだ。人間が気配を消せるわけがない。ゴブリンなどに食われた気配すらない。何もないのだ」
ありえないといった顔をしながら、ディルクはなおも必死に探している。


