あの事件以来、ネムはほぼ毎日のようにお婆ちゃんの家へ遊びに行っている。


 もちろん、ネムの両親やディルクはその度に嫌悪の表情を見せたが……。

「こんな朝早くからどこかにお出かけ? たまにはお勉強しなさい」


 今日はいつにも増してネムが朝から慌ただしくしているのを見て、見かねた母親が不機嫌そうに何をするのか聞いた。


「今日はお婆ちゃんとヨータと市場に行くの!! あっ、勉強してるよ♪お婆ちゃんが教えてくれるの! 幻獣の事もね~」


 言い捨てるように、ネムは家のお菓子を何種類と、ホウキを持って外に飛び出た。


 ――忘れずにディルクを抱っこして。