「無いことは無いが、いつになるか分からない。満月の夜を待つしかないんだ。再び同じ光が現れたとき、そこに道が出来る。……知っているだろう、ネム。この世界に満月が中々来ないことを」
「でも、でも方法があるなら良かった!!!」
ネムはほっと一息ついて、ふと疑問が浮かんだ。
「それまでこの子、どうしよう……」
訴えるような目でお婆ちゃんを見つめると、お婆ちゃんは観念したようにつぶやいた。
「ネムには敵わないね。ウチで面倒を見よう。ただし、この子はこの森以外に外に出せないよ。首の裏の刻印が無いことが知られたら大変だからね」
それを聞くや否やネムはお婆ちゃんに抱きついた。
もちろん、人間をおんぶしたままで。
「お婆ちゃん大好き!!!」
「世話の焼けるとこはマルティナに似たんだね、きっと。まぁ、とにかくその子を起こしてみようじゃないか」
ネムはおぶさっていた人間をベッドに下ろした。
ディルクは、ひょいと人間の顔のほうへ歩いていき、前足でほっぺたを何度か叩いた。
「ん……う………」


