ネムはさっきまでサラマンダーがいた方向に向かって大きく頭を下げ、急いでディルクの元に駆けつけた! 魔方陣の中にディルクが横たわっていた。 ――もう回復の魔法は消えかかっているようだ。 「ディルク!」 壊れてしまいそうなディルクをそっと抱き上げ、膝に乗せた。 いつもより呼吸が荒くなっていて……体が段々冷たくなってきている。 ――ネムは視界が歪んで見えなかった。 ディルクの体を、ネムの涙が濡らす。