――終わった?
本当に終わったの?
いまだ流れ出る涙を止める気力も無く、ネムは地面にへなへなと座り込んでしまった。
相変わらず‘焦げた物体’から視線を逸らせずに……
だが、大事な事を思い出してサラマンダーの方を振り返った。
「サラマンダー! 報酬は――」
しかしサラマンダーは首を横に振っている。
「いくらあやつが最強の力を手に入れていたとしても、我の未熟さが滲み出る戦いになってしまった。ゆえに報酬を受け取るわけにはいかぬが、どうお考えか?」
そして返事を待たずに消えていった。
――思わず口が開いてしまった。
噂以上の善良な聖獣だったので、ネムは感謝の気持ちで一杯になった。
報酬を‘自分自身’にするつもりだったので少しほっとしてしまったが……


