体から噴出している炎は、どちらかというとピンクに近い色味だった。 イフリートを直視する事が出来なかった。 いくら中身がイフリートだとしても姿形は陽汰のままだったからだ。 ネムは両手で口を抑えた。 ――危うく陽汰を助ける呪文を唱えそうになってしまったのだ。 イフリートはずっと苦しみの声を上げていたが、一際大きな断末魔の叫びをあげるとボロボロに崩れ落ちた。 ……そこに残ったのはブレスレットの残骸、そして……さっきまで陽汰だったと思われる黒焦げの物体。