「永い眠りから目が覚めて気が付いたら人間界とこっちの境界線に居たんだ。嘘じゃねえ! まあとにかく人間界は空気も街も何もかも汚くて耐えられなかった」
イフリートは話しながら手の上で炎を転がして遊んでいる。
不覚にも、キレイな色だとネムは思ってしまった。
「だが、人間がそこら中にうようよいるなんてチャンスだろ!! 行きたくても行けない人間界! それに世界を俺のものに出来るかもしれないしな」
「そこで陽汰と出会ったの・・・?」
「現実逃避して夢ばかり見ている人間ほど、世界を手にする‘器’に向いてるからな。そして俺は子犬の姿で近付いた。俺のあまりの可愛さに痺れたらしくすぐに飼ってくれたぜ!」
イフリートは得意気に鼻を鳴らした。
鼻からは、火花がバチバチと音を立てている。


