その空気に耐え切れず、ディルクは重い口を開いた。
「――その子は、どうやら人間みたいなのだ。それも、災いの人間……」
ネムはディルクの言ったことを理解できず、もう一度聞き返してしまった。
「えっ? 今なんて言ったの?」
魔法の国に人間が来ることは出来ないし、見付けることも出来ない。
人間の国に魔法使いが行くことは出来るが、限られた人だけ。
「だって、嘘でしょ? こんなとこに人間いるなんて! いくらディルクだからって、ひと目で見て分かるなんて変よ!」
ディルクは軽くため息を吐いた。
「私は以前、エレン殿と一緒に人間界に言ったことがあるから分かるのだ。信じられないと言うならば、その人間の首の裏を見てみるがいい」


