――しばらく経った後、イフリートが現れた。

 消えていたのではなかった。


 倒れていて、その体が煙につつまれて見えなかっただけだった。



「……くっ。化け猫にまだあんな力が残っていたとは。はあっ。油断した……」


 イフリートはボロボロになっていた。

 血も出ていたし、洋服なんて所々破れてしまっている。



 もちろん、体は陽汰のままだったが。



「良かったな、お譲ちゃん。化け猫――いや、守り猫は文字通りお前を守った。いや、お前だけじゃなくそいつらもな」



 イフリートは顎でお婆ちゃんとユニコーンを指した。



「どういう意味よ!?」


「分からないのか?つくづく救いようのない女だ。お前らに被害が及ばないように俺の魔法を全部吸収したんだよ!! そしてそれを俺に跳ね返した。……まさかそんな力が」