「いやあああああああああああ!!!!」


 ネムは急いでディルクを抱きかかえた。



 ――幸い、まだ息はあるがとても弱々しく、そして段々ゆっくりになってきてしまった。

 ディルクはもう目が見えていないのだろうか?


 話しかけてもネムの方を見ようとしない。


 いや、聞こえていないのか。

 見る力などもう残っていないのか。



 自慢だった白くて綺麗な毛は、真っ黒く焦げてしまっていた。

 ぴんと伸びていた尻尾も所々折れ曲がってしまっている。


 ネムはまだ残っていた魔方陣の中にディルクをそっと置いた。


 もう回復の魔法が消えかかっていたので効果は期待できなかったが、それでも何もない地面に置くよりはましだ。