威力が強かったので、突風と炎が治まるのに時間がかかった。
ネムは……自分が生きている事にびっくりしたが、それと同時に何が起こったのか思い返していた。
そしてはっとした。
「ディルク!?」
ディルクはあと一歩のところでネムの前に立ち、ありったけの魔力で結界を張っていたのだ。
あまりにも強い衝撃だったのだろう。
立っているのもままならない位に、足が震えていた……
「ディルク!!」
ずっと堪えていたものが溢れてしまった。
ネムは一気に涙が出てきた。
――まるで、バケツの水がひっくり返ったように。
メニュー