――ネムは動けなかった。
どうしたらいいかわからず、お婆ちゃんたちのやり取りを見ていることしか出来ない。
だが、それはディルクも同じだった。
どのタイミングでどう動けばいいか、頭が思うように働いてくれない。
イフリートの体が段々と赤く光り輝いてきた。
そして魔力が溢れてきている。
陽汰の器ではそれを支えきれないのであろう。
「チッ。さすが人間だな。持ちこたえてくれないと困るんだよ」
どんどん魔力が高まっていき、目を細めないと直視できないほどに赤く光っている。
「おまたせ~」
イフリートは右手をお婆ちゃんへ向けた。
そしてまた炎の玉を打ち込もうとしているらしい。
ネムがそれを阻止しようとしたが、イフリートの方が断然早かった。


