すると突然、イフリートがネムの方に向けて歩き出したが、お婆ちゃんとディルクは手を出せないでいた。
何が起こるかわからないし、イフリートを刺激するのは良くないと考えたのだろう。
しかしお婆ちゃんは結界をさっきよりもずっと強め、一応戦闘準備を整えた。
イフリートがネムの目の前まで来て、じっと見つめている。
「な、何よ!言いたいことがあるな……ら」
言い終わった後のネムは、イフリートの腕の中にいた。
そう、ネムは抱きしめられていたのである。
ネムは戸惑っていた。
「ネムさん……」
中身はイフリートであるにしても、姿、声、全て陽汰のままだ。
瞳の色が少し変わっていたけれど。
ディルクはギリギリと凄い音を立てるほど歯を噛み締めていた。
「フッ……こうなる事を夢見ていたんだろ?」
ネムは我に返り、魔法をお見舞いしようとしたがイフリートは既に元の位置に戻っていた。


