「落ち着くんだよ、ディルク。確かに陽汰が結界を越えたのは朝のみだ。この結界は家から出た時に反応するようにもなっているから分かるんだよ」
「……悪かったな、小僧」
「いえ、大丈夫です……」
そう言って笑った陽汰の顔はどこか寂しそうだった。
「しかし妙だね。人魚の血なんて使い道はない。不老不死になるという噂はでたらめだしねぇ。…となると、やはりアレか?」
「えぇ。どこに潜んでいるか分かりかねますので十分に注意が必要でしょう」
「ネム、‘世界を我が物に’だ。少しは自分で考えてみろ」
ディルクはネムが聞きだそうとしていることを先読みし、ぴしゃりと答えた。
「へへへ……」
ネムは照れくさそうにディルクに頬ずりした。
まんざらでもないのか、ディルクの喉がゴロゴロと鳴っている。


