そして……欠片は風で飛ばされてしまった。 「あら? ちょっと演出がすぎたかしら。でも久しぶりの獲物を目の前にしたら誰だって興奮しちゃいますわ」 お婆ちゃんはネムを見た。 ネムは――ネムの目には何も映ってなかった。 灰色のような、なんとも言いがたい色をしていて無表情だった。 「可愛くない子供ね。でも血が美味しければ問題ありませんのよ」 ネムを盾にされて手出しの出来ない両親とお婆ちゃんは泣き叫びながら首を振っている。 ラミアーは‘いただきます’と呟くと大きな口を開けた。