「ネム! 何を召喚したのだ!?」
ディルクがネムの元へ大急ぎで駆けつけた。
「ど、どうしてそんなに怒るの? ディルク怖いよぉ。褒めてくれると思ったのに……」
煙が消えた場所に立っていたのは、ラミアーとアメミットだった。
アメミットは頭はワニ、鬣と尾と上半身が獅子、下半身はカバの姿をしている。
性格はかなり獰猛で、扱いには熟練の魔法使いでさえ一苦労してしまうほどだ。
「ふ、二人も召喚してしまうなんて……」
母親は腰が抜けてしまい、それを父親が支えていたが父親でさえも倒れそうだった。
――それもそのはず。
こんな小さい子供が一気に二人召喚してしまうなんてありえなかった。
いや、目の前の光景を見ればありえるのだが、今までにそんな話は聞いたことがない。
それに彼等は幻獣ではない。
ラミアーは魔獣で、アメミットは聖獣だ。
幻獣ではない者を同時に呼び出し、それに当の本人は無邪気に笑っているなんて―


