ネムは家族を庭に集めるといつものように魔法のお披露目をするのだが、その日は何かが違った。
いつになく緊張した様子で、辺りの空気を読んでいる。
両親たちは何が始まるのか楽しみにしていたが、やはりお婆ちゃんたちは心配でたまらなかった。
しばらく沈黙が続いた後、ネムがゆっくりと話し出した。
しかし、何を話しているのか皆には分からなかった。
――それもそのはず。
ネムが聞いたことのない言葉で呪文を唱え始めたからである。
「召喚の呪文じゃ!!!」
お爺ちゃんが叫び、何か不吉な予感がしてその呪文を止めさせようとしたが既に遅かった。
薄紫色の煙がもくもくと出ていたのだ。


