あれから数日後の午後、ネムは自分の部屋の出窓から肘をついて外を眺めていた。


 出窓にはフリルのついた水色のカーテンがついていて、大小様々なドットが描かれている。


 左側には黒い猫のぬいぐるみを。右側には白い猫のぬいぐるみを。

 そして真ん中にはふわふわのまあるいクッションが置かれている。


 ――どうやらディルクのお気に入りの場所らしい。



 空は雨雲で覆われ、朝から絶え間なく雨が降っていた。
 
 地面には所々水溜りが出来ていてその水溜りの中にカエルと妖精が楽しく遊んでいる。

 
 その妖精は赤い三角帽子に白いフクロウの羽根を付けているのでレプラコーンだろう。

 レプラコーンは妖精の靴屋を営んでいる。



 群れを成す事が苦手なのでひとりで暮らしていて、陽気で働き者の小人なので皆から好かれている。


「ネム。今日は勉強をしなくてよいのか?」


 ベッドに座って毛繕いをしているディルクが、ふいにネムに問いかける。