そしてネムが軽く地面を蹴ると、ゆっくりだが空に浮かんでいった。


「どうした? 今日はやけにゆっくりだな」

「初めて人を後ろに乗せたからちょっと怖いのよ! 黙ってて! 集中しないと……初めが肝心なんだから」


 ゆっくりではあったが、どんどん高くなっていく。


 人やお店が小さく見える高さまで来たところでいったん止まり、陽汰がきちんと掴まってる事を確認した。



「それじゃ、森を上から探索するとしましょう」


 陽汰は感動のしすぎで声が出ないようだった。


 時折、声にならないような声をあげていたが。



 ――空は夕焼け色をしていた。


 黒、グレー、オレンジ、赤、紫。



 とても綺麗だった。