ネムはお礼の代わりにディルクの頬にキスをし、右手を軽く振ってホウキを出した。
いつものようにホウキにまたがり、両腕の間にディルクが乗り、あとは陽汰だけなのに中々こない。
「ほら! 時間が無いわ!」
「あっ、うん。でもどこに乗ったらいいか分からなくて」
「ごめんごめん。あたしの真後ろ。慣れないうちはお尻が痛くなるかもしれないけど我慢ね。あ、手はあたしの腰でも掴んでて」
「いや……肩にしとく」
そう言うと陽汰はホウキにまたがり、ネムの肩に手を置いた。
いくら肩でも女の子の体に触るなんて失礼だと思ったが空から落ちたくないので仕方なくつかまっている。


