「あ! 陽汰ちょっと待って! ホウキに乗らない?」
陽汰がびっくりした顔でネムを見ていたし、ディルクはありえないという顔でネムを睨んでいる。
ネムは自分自身でもびっくりしてしまった。
二人乗りなんて初めてだし、そうじゃなくてもなんで今このタイミングで誘ったのか分からなかった。
「乗ってみたいけど……いいの? ディルクさん……」
陽汰はディルクが気になるようで、おろおろしていた。
しかしネムは言い出したらそれを意地でも通そうとするので、止めても無駄な事がディルクには分かっていた。
「三十分だけだ。それにわたしも乗る。文句は無いだろう?」


