「小僧、もうすぐ暗くなる。お前はエレン殿に言われたとおり家路に着け」
「そうですね。そろそろ……帰ろうかな」
お祭りが一番楽しくなる時間に帰るなんてありえないと、ネムは陽汰とディルクの顔を交互に見た。
夜になったらパレードが始まり、王様の挨拶、そして魔法で様々な形の花火が上がりとても綺麗だというのに。
ネムは主張したがディルクは聞く耳を持たなかった。
「これはエレン殿との約束なのだ。暗くなったら小僧を連れて帰るとな」
お婆ちゃんの言う事なら仕方がないと思ったが、初めて魔法の国のお祭りに参加するのだからそれくらい許してくれてもいいのに。
それにこんな人混みの中で誰も陽汰を襲おうとする低脳な魔物はいないと思った。
ネムが色々と考えているうちに陽汰とディルクはお婆ちゃんの家に向かって既に歩き始めていた。


