「女の子の事、何も分かってないんだから! このリボンを見てよ! あたしがいつも着けてるやつと全く違うじゃない!」


 ネムは、ベッドにあったリボンをディルクに見せたが、首を振っている。


「……はぁ。リボンの両端を見て。蛇の舌みたいに分かれてるでしょ? いつものやつは分かれてないの。これはなんとなく女の子ぽいから嫌……待って。これも悪くないじゃない」


 そう言うと、ネムはそのリボンをディルクにかけた。


 ――ちょっとこれ持っててね という言葉と共に。


「今日はこのグレーがかったマントにしましょ。裾が少しひらひらしてるのよ。分かる? あぁ、なんでもない。聞いたあたしが間違ってたわ。ごめん」


 またブツブツ呟きながら、一生懸命探していく。


 他の洋服を踏まないようにするのは大変だったが……