ヘリコプターで病院へ搬送され、二時間程の処置をして病室に運ばれた。

怪我自体大したことはない。

ただ右の額から瞼に枝が貫通して20針縫ったらしい。

ひきつるように痛いけど眼球は大事に至らずに済んだ。

杏子はかすり傷一つなくて私にしきりに謝っていた

『幸子、ごめん。私がわがままばっかり言うからこんな事になって…。私一生幸子に恩返しするから、許して』
『杏子ってばまたそんな大袈裟だって』

私は笑った。

嬉しかった。

包帯が外れるその日まで、杏子のその言葉だけがずっと耳に残っていた。