『杏子、回りに誰も居ないよ、そろそろ引き返そう』

杏子が振り返って

『幸子、この木の実、面白い形してる!沢山取って帰って皆に見せたい』

そう言って木を登り始めた。

『杏子ゎ危ないからやめようよ』

私がいくら止めても聞かない。

わがままはいつもの事だけど、今日だけは苛々してしまった。

『幸子…降りられない…怖い』

ふと見上げると今にも折れそうな位シナっている枝に杏子がしがみついている。

とても私一人では手に負えない。

だからいったのに…。