「陽介、これはどこに向かってるの?」
放課後、二人横にならんで歩きながら陽介に聞いてみても
「行けばわかる。」
としか言ってくれない。
それが何だか面白くないあたしは
「ふーん…」
って少しだけふくれてみたりして。
わざと陽介の気をひこうとしちゃったりするんだよね。
だけどそんなことにも気づかない陽介は
「肉まんみたいになってるぞ、顔。」
って…
「…陽介のばか」
すっごく失礼。
あたしの気持ちをわかってない上、肉まんって…
どうせならもうちょっと可愛いたとえにしてよね。
口には出さず少しだけ陽介を睨み付けても、いつものように余裕たっぷりの笑みで返されて。
悔しい~…
「ばーか、ほら。」
不意に差し出された左手。
「へ?」
一瞬キョトンとしたあたしに
「…繋がねーのかよ。」
顔を赤らめる陽介。
ぶっきらぼうなのにそれはそれは甘い言葉に聞こえたよ。
「…繋ぐ!!」
ギュッと力いっぱい右手で握り返すと、また陽介もあたしの手をギュッて握り返してくれたような気がした。
勘違いかもしれないこの行為にあたしの胸はときめく。
どうしよう…
あたし、今嬉しすぎて気持ち悪いかもしれない!
こういう陽介…少しだけデレ、なのかな?

